読み始め、山田詠美さんの不倫もの 、ドロドロするようになったな 。と感じてしまった。
AtoZは倫理感の慨念がまるでなかった。ずっときらきらしていて、恋の苦いところもきらきらしていて、宝ものな本だちゃ。
けど 、血も涙もある、この本は桃子が鈍感なだけだ 。
桃子はクレバ ーだけど 、山田詠美の他の作品の女性ほどクレバ ーじゃない 。
男の日常とかは妻がつくってて 、そこも含めて好きで、おいしいところだけご相伴に与っているのが不倫っていうのはわかってるんだよね桃子は 。
これまでの作品なら、完全に桃子が主人公で 、今回も桃子が主人公なのだが、不倫の道徳とかは差し押いて 、一つの恋愛が始まって終わるまでについて描かれていたけど
それにしては桃子の鈍感さが出ている気がする 。
妻 、喜久江の視点が今までの作品にない視点である。これは喜久江が主人公なのかもしれない と感じるほどに。
喜久江こそクレバーな女性なのかもしれない 。それと同時に 、これまでの作品でもこういう思いをしていた描かれていなかった登場人物がいたのかもしれない 。
というように読み進めていると意外な形で喜久江は桃子につめよる 。
そしてラストの展開にしてやられる 。やっぱり山田詠美だ 。このまま終わるわけがない 。
鈍感だった桃子はそれを認識する 。
ただのアホのようでいて 、ひょうひようとした風来坊の中にさびしさというかいじらしさを秘めていた太郎 。
かなりやり手なのに 、その手口を隠していた 、実は陽も陰もある喜久江 。
ちゃあんと着地していく。
山田詠美の不倫ものにしては 、1 つの恋として終わらせるのではなく 、
ハッピ ーエンド 、全て丸くおさまる 。という感じ 。
こういう終わり方もいいよね 。
恋愛の甘やかな汁だけをのせた文章ではなく 、各々の内面にも迫っている 。
一方で 、ラストはaround people の視点で描かれていて 、桃子 、太郎 、喜歌江がどう思っているのかが描かれていない 。
描かれていないがわかるのだ 。それでいいじゃん 、て詠美さんの声が聞えてくるようだ 。
ジェントルマン 、賢者の愛とドロドロは近年多かったけど 、今の時代の山田詠美が出てる本だった 。
自分の中のエイミ ーブ ーム 、再来 。
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